
スーパー8では感度設定の問題がいろいろとあったりしますが、シングル8では どうなのでしょうか? そもそもフィルムの種類が少ないから問題ない?
なにかに役立つかも知れませんからまとめておきます。
シングル8規格のフィルム感度
シングル8規格ではASA感度設定を15段階用意してあります。
ASA16/20/25/32/40/50/64/80/100/125/160/200/250/320/400
なんと細かいことに、1/3段ずつの刻みになっています。
ですが、シングル8で実際に発売されたフィルム感度はカラー・モノクロ取り混ぜて、
ASA25
ASA50
ASA200
この3種類だけです。( デュープ用フィルムなど業務用は除いてあります)
現存しているのはASA25と200の2種類のみです。
ともあれこの細かい設定値が、スーパー8と同様に カートリッジに刻まれているのです。
フィルムの感度設定は全3カ所もある
シングル8カートリッジの規格上の感度設定箇所は カートリッジのウラ面に2カ所、前面に1カ所の合計3カ所もあります。
まずはウラをごらんください。
左からASA25(フジクロームR25アフレコ)、ASA50(ネオパンR50)、ASA200(フジクロームRT200N)です。ASA50のフィルムは現在発売されていません。
○を書いてあるところが、感度設定部です。
ひとつはカートリッジ裏面上部の円弧状の溝。
もうひとつは送り出し口近くのまっすぐな溝。
円弧が長い方が感度が高くなります。規格上は円弧の長さではなくて フィルムの送り出し軸を中心にした、角度の大小で決定されます。4度ごとに1/3段ずつ増減する設定です。
まっすぐな溝は溝の下端から、フィルム送り出し口までの長さで感度設定をします。
カートリッジ前面から見てみましょう。
同じく左からASA25、50、200です。
でっぱりがあります。このでっぱりと、マガジンの裏側表面からの距離の大小によって感度が設定されます。 こちらはウラ側からの距離が大きいほど感度が低いのです。
0.75mmで1/3段づつ増減します。たとえば、ASA25とASA50の差は、絞り計算で1段(=1/3×3)ですから0.75mm×3=2.25mm。2.25mmほど位置がずれていることになります。
カメラ側の設定について?円弧型ノッチを読み取るカメラ
カメラ側を見てみましょう。
カートリッジには3カ所も感度設定が用意されていますが、円弧型ノッチを読み取るタイプが圧倒的に多いです。
キヤノン518SV
対応する感度は、ASA25,50,100,200。
コニカ3-TL
コニカ6-TL
規格のASA10?400すべてに対応するコニカ3-TL、6-TLなどは、円弧状切り欠きに連動するレバーの移動距離がものすごく長くなってます。
円弧で設定するタイプは後期のものになると移動式のレバーではなくてボタン型になります。
写真はフジカP500サウンド。
カートリッジ前面のでっぱりを読み取るタイプのカメラ
でっぱりで感度を設定するカメラには、キヤノン518やフジカAX100、C100、ZX250、エルモ8S-60、8S-40T、8S-600、8S-800ほかがあります。
エルモ8S-60。赤いポッチが感度感知用レバーです。
フジカAX100。
フジカC100。ASA25と50のみ対応。
エルモ8S-600。
手元の資料では、ウラ面フィルム送り出し部そばの溝を 読み取るタイプの物は見あたりませんでした。
シングル8感度設定のまとめと活用法
スーパー8に比べて、フィルムの感度の種類が少ないので、ほとんどすべてのカメラにおいて、富士写真フイルムがリリースしているシングル8フィルムであるR25NとRT200Nをきちんと使うことができます。しかし、たった一機種、RT200Nで問題が起きるカメラがあります。その、あきらかに問題が出るカメラは、
フジカC100。
このカメラはASA25と50の設定しか持たされてないので、フジクロームRT200NをASA50と認知してしまい、2段も露出オーバーとなってしまうのです。コスト削減のためと言われていますが、よくわかりません。
本機種リリース当時はまだASA200のカラーフィルムはリリースされていないにしても、モノクロのフジネオパンR200は販売されておりましたので、ユーザーも誤用してしまったのではないかと思うのですがね。
一応、高感度フィルム対策として、カメラ内部にも「高感度フィルムネオパンR200で日中撮影するばあいは専用のND4フィルターをご利用ください」とあります。
シングル8カメラではC100を除いて、現行のフィルムで問題がでるものはないのです。年代順に一応検証してみると、シングル8誕生当初にリリースされた機種は、シングル8規格通りのぞろっとASA10?400に渡る感度設定全部を持っているものがあるので、初期のカメラだから高感度フィルムに対応していない、という一部スーパー8カメラに見られるようなことはありません。
それから数年後のフジカZ600などがリリースされる段階では、レバー式の感度設定機構を持っていますがASA25、50、100、200、400だけとなり、中間の設定は飛ばされました。これからもわかるように、 わりと早い時期に感度設定は整理されているのです。しかしやはり現行フィルムを使う上では問題はありません。
その後はさらに簡素化されて、富士写真フィルム製のシングル8カメラでは感度設定がボタンになっているものが多くなります。ただ、最終機種のフジカP400サウンドオートフォーカス(1981年)でさえも、ASA25、50、200の設定は装備されていましたので、やはりR25NやRT200Nを使えないカメラはほとんどない、という事になります。
しかし、富士写真フイルム以外で、一部ショップが独自にスチル用フィルムを加工してシングル8カートリッジに詰めて売っているフィルムなどでは事情が異なります。
最近、富士写真フイルムのスチル用リバーサルフィルム「ベルビア(ASA50 デイライトタイプ)」を裁断鑽孔して8mmに仕上げてシングル8カートリッジに詰めた商品が出ておりますが、「カートリッジ全面のでっぱりで感度設定するタイプのカメラ」では、感度設定がきちんとできません。
というのは、もともとASA25仕様のカートリッジを使っていて、円弧部分しかASA50設定に刻み直されていないからです。前面のポッチはASA25設定のままになっているので、ポッチを読み取るカメラではASA25と読み取ってしまい、1段ほど露出オーバーになるはずです。実際には、ベルビアの実効感度はやや低いので1段まるまるオーバーにはなりませんが、それにしても、です。前面のポッチの位置は、ASA25とASA50では2.25mmほどずれているので、この部分をなんとか補正してあげれば、上記のカメラでも使えないことはないと思うのですが、実験しておりませんので明言は避けておきます。
また、すべてのカメラに共通していえることは、露出がきちんと計測されているかどうかを確認することを最優先にしなくてはいけない、という事です。保管状況や使用頻度の差こそあれ、一様に中古品です。その中には正しい露出値を指さなくなったカメラもあります。
補正だの調整だのは、すべて現行できちんと撮影できるかどうか、それが確かめられてから考える事です。ましてや入手したばっかりのカメラでいきなり制作の現場に臨むのはあまりに無謀です。たとえば、劇映画の場合は、カメラの不良でもういっぺんスタッフキャストを全部集め直すという大変な無駄を生み、労力を消費してしまいます。そんな事にならないように、まずは1本テストフィルムを撮りましょう。テストフィルムをけちってはいけません。
テストに問題があれば、修理や改造、カートリッジの感度設定をうまく利用して露出補正をしてみたりする、と言う段取りで臨むのが肝要だと思います。
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協力:オオノ隊員
参考資料:「シングル-8読本」富士写真フイルム宣伝部 シングル-8グループ刊
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