七里圭が二度と撮らない映画『眠り姫』とエクタクローム160A

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七里圭監督が、2005年に山本直樹のマンガを原作に採った短編『眠り姫』
この短編が新たに長編作品として生まれ変わって、渋谷・ユーロスペースのレイトショーで公開中です。

先日見て参りました。試写会場でいただいたたくさんのプレス資料には、秋から冬にかけての七里さんの新作やら旧作再映やらの情報がいっぱい。お忙しいようです。
その中で、もっとも気になったのは以下の一節。

「こんなねじけた映画を、二度と撮る気にはならないでしょう」

七里さんが自作を称した言葉です。ねじけ?ねじけって?
言葉は知ってますがねじけ・・・なんだろう。

ただ、私にはこの映画すごく変わっていると感じられました。
この映画、人が被写体でないのです。ほとんど人が登場しません。
それでも人間ドラマが展開していきます。
ホントふしぎだなあと感じます。
ですがその不思議な気持ちは、こんなあんまり例のない手法を採った映画に対して、すーっとなじんでいく自分に向かっています。

なんでこんなにすーっと見られるのだろう。しれっとしたユーモアがそこここに見え隠れする、この雰囲気でしょうか。それとも、猛烈な既視感のあるショットがちりばめられているからでしょうか。

二度と撮る気にならないでしょう、と理由は最後までわかりませんでした。
ですが、この感じ他では味わえないものです。

[エクタクローム]

 実は七里さんからいただいた試写状には、すごくそそられる手書きメッセージがあったのです。

それは、「十数年前のエクタクロームを使っています」

エクタクローム!
この場合、エクタクローム160 TYPE Aと言う今は亡きスーパー8用フィルムのことです。

 90年代頭、このフィルムの販売終了がコダックから報じられました。
すると、当時の8mmユーザーの間に波紋が生じました。そして、このフィルムが無くなることによって生じた数々の問題を扱う運動がスタートしました。
 その旗振りをしていたのがイメージフォーラム。そしてその運動のお手伝いをし始めたうちの一人に、当時早稲田大学シネマ研究会にいた大学生・七里圭さんがいました。

 当時七里圭といえば、高校生の時、1985年PFF(ぴあフィルムフェスティバル)に『時を駆ける症状』をひっさげて現れ、一躍注目されたあの男と言う感じでした。

 単に運動のお手伝いをしていただけならば別にどうということはありません。いろいろな事が起きたのです。
 それ故に、エクタクローム160Aと言うフィルムと七里圭との間には、他の8mmフィルムとは全然違う意味合いがあるのです。

 そんなわけで、わざわざ試写状に書かれた「エクタクロームを使ってます」

 その映像と使い具合、16年の年月を経たフィルムがどうなってるのか、
 16年の眠り姫を呼び覚ますのはなぜ?
 
 ご興味のある方はご覧ください。

12月14日まで渋谷・ユーロスペースのレイトショーで公開中です

監督・脚本・撮影 : 七里圭
原作 : 山本直樹
声の出演 : つぐみ 、 西島秀俊 、 山本浩司 、 大友三郎 、 園部貴一

Velvia50再登場!

8mmじゃなくて、35mmのスチル写真用フィルムのお話。
ベルビアは、使用されている素材の関係で数年前に製造を終了しています。
現在店頭にあるものは、冷凍保存されている反物状態のフィルム(原反)を加工してリリースしてるものです。

で、その惜しまれて亡くなったVelvia50ですが、先日処方を少し替えてブローニー版再登場。さらにこのたび35mm版もめでたく登場、と言う運びになったというわけです。

http://fic.fujifilm.co.jp/news/article/20071122/01/

ふーん、なんかしらの要望とか要請とか圧力とかがあれば、一旦亡くなりそうになっても復活するんだとびっくりいたしました。

ほしいモノはちゃんと「ほしいです」と伝えた方がいいですね。
言わないと欲しくないんだと思われるんでしょう。

そういえば、今年の頭まではベルビアとシングル-8はまったく同じ状況でした。
それは、両方とも今の原反使い切れば「ハイそれまでよ」と言う状況。
両方とも製造が再開されたところも似ています。
違うところと言えば。
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8ミリのテレビCMって覚えてます?

昭和の懐かしCMが取り上げられると出てくる、扇千景さん出演の「マガジンポン、私にも写せます」。
これすごく有名ですがシングル8登場のCMなんですよね。1965年ですから42年前。うんと昔です。

その後、1975年に8mmカメラの年間出荷台数がピークを迎えるまで、ずーっと右肩上がりの成長をしてたわけですし、その間新しいフィルムが出てきたりカメラもサウンドになったりといろんな変化が8mm機材にありました。
きっと、これはばんばん売りたいから宣伝したいとメーカーが思うポイントがたびたびあったと思うのです。

でも、どうもテレビCMの記憶がありません。
たまたま地味なCMで印象に残らなかったかもしれませんし、単にまだ小さかったから覚えてないだけなのかも知れません。

でも、万博もありましたし、きっといっぱいCMが流れていたのだろうと思うのです。
今使ってるカメラやフィルムはそもそもどんなふれこみだったのか、そしてどんな人が買いたくなったのかってのを知りたいなと思ったのです。

ちゃんと産業として成立してたときは、どんな風だったのかな、と。

そして、今8mmを消費している人はいったい誰なんでしょう。

アスティア100F版シネビアの感度のナゾ続編

さて、レトロ社長は別件で連絡をしてきたのですが、ついででしたのでアスティア100F版シネビアについて聞いてみました。

レトロ社長さん曰く、
アスティア100F版をASA100設定で撮影したら暗いので、なぜこうなるのか富士フイルムに聞いたそうです。

そうしたらこんな仮説が出て来たのだそうです。

”一枚のスライド写真として投影して見る場合と、
シャッターで連続的に黒味と絵柄と分断されて見る場合とは、
見え方が違うのではないだろうか”と。

つまり違いは映写のせいだ、と言う仮説ですね。
うーむ。一瞬分かったような気がしましたがやっぱりよくわかりません。

(この仮説だとエクタクローム64Tなどのスチル用フィルムが同じASA感度で8mm用に使われてることが説明出来ない、と言うご指摘を頂きました)

確かにそうです。
なんか別のファクターがあるのか。見ないことには分かりません。撮りましょう。

あ、「富士の人」が富士フイルムで何をされてる方かは聞き忘れました。

ASA100のアスティア100Fのシングル8はASA100ではない不思議

レトロさんにしばらくぶりに行ったところ、見慣れないシングル8フィルム商品が出ておりました。
おなじみシネビアシリーズの新顔です。

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今までのベルビア50Dではなくて、富士フイルムのスチル写真用リバーサルフィルム、アスティア100Fをシングル8マガジンに詰めたモノですね。

レトロさんのサイトでは、「近日発売」になったままです。だから新商品かと思いましたら、もう2ヶ月ぐらい前には出ていたモノだそうです。

[ASA100のフィルムなんだけどASA100ではなくてASA50]

 さて、本フィルムを買う際に、いつもの若い店員さんが念を押してきたことがあります。
それは、「ASA100の設定ではないんです」ということ。店員さんが言うには、こうなってるとのこと。

マガジン前面出っ張りの感度設定・・・ASA25
マガジンウラ面の円弧感度設定・・・ASA50

確かに、ウラ面はASA50の設定です。

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写真左側がアスティア100F版シネビア。右側が参考用のネオパンR50。

なんでそうなってるの?と店員さんに聞いたところ、こんな回答でした。

当初ASA100の設定でテストしたところ、映像が暗かった。
そのため、ASA50に彫り直して出荷している。


テストしたカメラは「中級機」との事ですが、具体的な機種はわからないようでした。
さらに、「お客様のカメラでチェックしてからお使いください、以上ご説明申し上げてから販売するようにしてます」とのこと。

つまり、マガジンのASA感度はだいたいの目安なので、それを納得した上で買ってくださいということです。

 ASA100とASA50との間で起きるズレ。確かにフィルムの感度はいつでもどこでもがっちり不動って訳ではないんですが、ベルビア版に続いて似たようなことが起きてるのは気になります。例えベルビアがもともと実効感度の低さが指摘されるフィルムだったとしても。

 ずいぶんとコッチにおまかせおまかせになってますが、後は試すか試さないかの2つにひとつしかないですよね。

 買いました。
 お金払ってテスト参加するわけですから、ワタシもずいぶんとのんきでです。
 さて翌日。空が綺麗でしたのでさてテスト撮影を・・・と準備してたら、ずいぶんしばらくぶりにレトロ社長さんからお電話が。(つづく)

KODAKから新映画フィルム近日登場

http://www.kodak.com/US/en/motion/hub/v3/evolution.jhtml

それはVISION3。カラーのネガフィルム:VISIONも三代目となりました。
コダックのサイトにトレーラーがあがっていますが、詳しいことは見あたりません。
35mmや16mmとしてのアナウンスだと思いますが、スーパー8はどうなるのかなと。

今までもVISIONのバージョンがあがるたびにスーパー8版もバージョンがあがってました。今回もまた現行のVISION2に代わってVISION3バージョンがリリースされるのでしょうかねえ。