「アナログの逆襲」なぜフィルムフェッラーニアは5年間もカラーリバーサルフィルムをリリースできないのか その3

2020年2月11日 | By muddy orihara | Filed in: ニュース.

エピソード3を見る前に、フェッラーニアのキックスターターの経緯について書かれた本で、キックスターター終了から間もない頃のフェッラーニアプロジェクトの状況を振り返ってみましょう。

「アナログの逆襲-「ポストデジタル経済」へ、ビジネスや発想はこう変わる」
デイビッド・サックス著 インターシフト刊2018年12月20日
“The Revenge of Analog” David Sax 2016

 原著は2016年刊行。拾い読みして参りましょう。
 

まず、フェッラーニアの歴史についておさらい。20世紀初頭から地場産業としてバリバリやってた。1964年に米スリーエムに買収されてから、スコッチクロームとか、イメーションとかソラリスとか世界中のフィルムブランドのOEM供給元としてたくさんのフィルムを作り続けてた。

ところが、スリーエムは1995年にフェッラーニアを分割して医療関連事業とか売却して、1999年にフィルム部門をイタリアの投資会社に売り払ってる。

そして21世紀になって一気にデジタルカメラが普及し始めてフィルム事業事態があやしくなってきた。

2002年にポラロイドが倒産。
2003年にフェッラーニアが倒産。
2005年にイルフォードとAGFAゲバルトが倒産。
2012年にコダックが倒産。

 残ったフェッラーニアのフィルム部門の経営陣は首切りを続けながらも2006年にLRFをクローズ。2011年始めに最後のフィルム製造を終えてます。

 さて、2011年にイタリアで現像所をやってるマルコ・パーニに、「35ミリフィルムを裁断してスーパー8に仕上げてくれ」と相談しに来たのがニコラ・バルディーニ。
 大きなフィルムからスーパー8のフィルムを作るためにはフィルムをカットして、パーフォレーション穴を開けるのですが、いずれも専用の精密機材でないと出来ない。フィレンツェの写真博物館にフェッラーニアが使ってた86台目の鑽孔機があることを知らされた二人は、「85台までの鑽孔機」を探して、閉鎖されたフェッラーニアの工場を訪ねたのです。
 で、鑽孔機を買い取ったんですが、その閉鎖された工場の装置を使ってフィルムを再製造しようとひらめいたわけですね。
 フェッラーニアは年間数億本の生産能力を持っていた大工場(通称ビッグボーイ)と800万本ほどの研究所的な小さい工場(LRF)があって、ビッグボーイはまもなく取り壊される予定だったので急いで州政府と諸々の手続きをし、LRFに機材を移設するなどを始めたんですね。

 2014年のキックスターターで資金を稼いだ後も、 機材の移設やら、建物の修繕やら、暖房もない建物やらアスベストやら…資料の探求やら古いコンピュータ制御の機材とか…せっかく入手した薬剤も期限切れになる前に使わないといけないのに装置の準備が…とか、予測しなかったいろんなトラブルが待ち構えていたというのは、ホントにその通りなんだなと。 施設問題、薬品の問題、経済的な問題などなど…。


さて、上記を踏まえてエピソード3です。
 

EPISODE3

エピソード3は、

「たまに届くものすごく長いメールは進捗報告じゃ無くて、遅延の正当化にしか読めない。何も報告することがなくても、一ヶ月に一回ぐらい報告することは出来ないですか?」

に答えてます。

答えをまとめると、

・頻繁かつ適切にコミュニケーションを取るのが大事だというのは熟知している。
・支援者の信用を大きく傷つけたことも判ってる。
・その上で、私たちがやってることの多くを明らかにしすぎると、プロジェクト全体にダメージを与えることになる。

その回答に続いて、「旧フェッラーニアがある建物の外壁に貼り付けてたでっかい温度計を片付けろ、片付けなければ金払え」と追い詰められて、古い建物にはるばる車で訪れて温度計をドリルで外してる映像が付けられてます。

やれやれ。とにかく大小トラブルに見舞われてる、ってなことだけは判りました。

しかし、どうも回りくどいです。
イタリアでは当たり前なの?西欧的なの?と不思議なのでありますが、
コメントにこんなのが挙げられています。

Thanks for the recent updates. But, the bottom line here is that it’s been years (5?) since I backed this and there is still no ETA on when the color film will be shipping- or if it will ship. I have asked on Kickstarter and I am told to read the updates. But there is nothing about that in the updates. The history, stories, and even the available P30 film is great. But WHEN will the color film be available? That is what I backed and have honestly given up on as it feels like my money has been lost.

肝心なのは、数年過ぎても、カラーフィルムのETA(到着予定時刻)がないことです。 Kickstarterで尋ねたところ、アップデートを読むように言われましたがアップデートには何も書かれていません。
 (フェッラーニアの)歴史、物語、そしてP30フィルムは素晴らしいです。 しかし、カラーフィルムはいつ入手可能になりますか? 私はカラーフィルムに支援しましたし、私のお金が失われたように感じます。

まあ、誰でもそう感じるのねー。まずいちばん聞きたいのは「いつなのよ?」ってことですよね。
肝心なことを語ってないフィルムフェッラーニアにジリジリしてる、そしてバルディーニ氏の回答で自ら認めてるも同様ですが、経過説明が下手くそだということですね。

 ニコラ・バルディーニとマルコ・パーニの二人は、2011年にたまたま取り壊し直前のフェッラーニア工場に出会ってしまって、フィルム製造について何も経験も知識も無いままに突っ込んで行ってしまった、まさにそれだけのことなのだと判ります。
 加えて彼らは旧フェッラーニアに勤めていた人を再雇用してます。会社経営とか協力者を待たせている間に何をするのかも含めて、まるっきり手探りで、かついろんなことに追われているのですね。
続きます→


Tags:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください