「9/9 自家現像パーティでナゾのフィルムを現像した」の記事の続きですので、先にそっちをお読みくださいね。
ワタシの家にはナゾの未現像フィルム、撮影途中のフィルムが多いんです。
どうせまともな画が出ないのですから捨てちゃっても良いんですけど、せっかく撮影されたフィルムですから、何が写ってるか知りたくなりました。
でも、どんなフィルムでもOKかというとそんなことはなくて、コダクロームのカラー現像はまあほとんど無理ですし、フジカラーも同様。フジクロームやエクタクロームは自家現像でもカラー現像できますけど。
でも、そもそもすんごく古いと乳剤が劣化してて映像出ません。
だから、「インスタントコーヒーで使用期限切れの8ミリフィルムを現像する」で、モノクロネガ現像が確認できた、上の写真の[5]番めのフジクロームR25をカラーリバーサル現像してみることにしました。
何度も書いてますが、この[5]番のフジクロームR25は1998年使用期限のフィルムの山に入ってたモノ。ホントに1998年モノならそこそこカラーの画が出るはずです。
しかし、現像結果はそんな予測を裏切るモノでした。ほら↓
なんだこれ超人ハルクかよ!緑色一色じゃないか!
想像するに、乳剤の表面の層が現像液に耐えられずに溶けちゃったけど、奥の方の緑の層は残ったからかろうじてうっすら画が見られる、そんなところですかねえ。絶対にこのフィルム1998年より前に使用期限切れになってる。違いないっす。
映写しても何が写ってるかよく分からないので、Minetteの名機、Viewer Editor S-5と乾電池駆動のライトボックスと10倍のルーペを持ち出して、一コマ一コマチェックして診ました。
フィルムのあたまはもう、すっけすけのスヌケです。何も写ってません。
十秒分ぐらい観ていくとうっすら画が出てきた!どうやら海岸を走る車窓から撮ったようです。
また、薄い緑の中に映像が埋もれてしまった。そういうところはエマルジョンがはがれまくってますね。
しかしこの被写体自体、どうみたって1998年じゃない。もっと前だ。
…あら、何か看板です。この看板にはなにがかいてあるのかな?
うーん、画が薄すぎてさっぱり分かりません。
険しい岸壁を横目で見ながら、車は走ります。ドア横のフェンダーミラーが、時代性を予見させます。
わかりにくいですが、右側の岸壁になにやら看板めいたモノが設置されてるのですが、さっぱり判読できません。
おっ!とうとう時代の指標が登場です!
マツダコスモ!1975~1981年の6年間リリースされていた車です!
これで大体、撮影された時代は分かってきました。1998年なんて大間違いでした。1980年前後デスねこれ。
時代はわかった。でも一体ココはどこなんだ!
またまた車窓からの撮影シーンが始まりました…おっとトンネルの看板だ!これはボーナスヒント!
ルーペでよく見ると、はっきりこう書いてあります。
「今庄トンネル」
…福井県だ!福井に向かう旅行記なんですねこの映像は!
ナゾはほとんど解けました。あとはこれは一体誰が撮ったのか…それはもう、どうにも分かりません。
さて、フィルムも最後のシーンに近づいてきました。
上手から下手へ移動する人物です。
ん?なんか看板がありますよ?
よくわからないなあ…映写してもわかりにくかったので、つぶさに見直しますと…
ルーペで観てみましたがほんの1コマだけ、看板が読めるコマがありました。
そこには、
ダイヤモンドクラブ 敦賀休暇村
とありました。
もう分かりました。
この映像は1970年代末から80年代頭にかけて、敦賀の方に向かってドライブをした記録映像です。最終目的地はダイヤモンドクラブ 敦賀休暇村。じっチャンの名にかけて。
ちょっと調べてみましたが、どうやら現存しないホテルのようです。数年前は廃墟として北陸で少し名の通った物件だったようです。感慨深いです。
しかしこの8ミリ、最後の最後で見事にいつどこで撮影されたのかの回答が仕込まれてる辺り、なぞなぞとしてとても面白かったです。
人の営みや記憶が、現像されずに放置されたまま…そのままそっとしてあげても良いのでしょう。
でも、今は、今回のこの良く出来たなぞなぞフィルムの体験で、記憶の発掘作業ががぜん、面白くなってきてしまいました。
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