同時録音撮影の問題点の一つが「カメラノイズ」。そしてもうひとつの問題が「音のズレ」です。
これは、8mmカメラと8mm映写機が、わりといい加減なスピードで回転しているために起きます。
どんなに正確に走行するテープレコーダで録っても、カメラと映写機がちゃらんぽらんに動いてますから、テープとフィルムを頭出ししてせーの!でスタートしても、画と音は次第にずれてしまうのです。
なんとかなるかな?と思って、フィルムを見ながらカセットテープに音を入れても、なんだか全然あわないやーと。人様に聞くと、同じような失敗経験があるようですね。一度は通る道、てなわけでしょう。
安定したカメラ・録音機・映写機を組み合わせる
完全に速度が安定したカメラと映写機、録音機材を組み合わせて使えば、ずれないはずです。クオーツロックのカメラ、たとえばBEAULIEUの6008PRO、7008PRO、9008PROで撮影しながらDATやMDで録音、編集リーレコ時にフジカスコープSD20かSD25を使う。この組み合わせでいいところまで追い込めるはず・・・。ボリューは持っておりませんので、試した事はありません。
フジカスコープSD20とSD25は、「1200ftで数コマの誤差」の宣伝文句はちと眉唾だとしても、GS-1200などのFGサーボ機と比べても安定性が高いです。
レコーディングエディターの使用経験はないので全然わかりません。GOKOのRM-8008とか、画面見えにくくてリップあわせが全然できそうもない気がするのですが・・・
パルス同調
オオノ隊員さんのご協力を戴きいろいろと紹介しているのがパルス同調システム。
たとえ映写機やカメラがちゃらんぽらんであろうと関係ありません。最終的に音と画の動きがシンクロすればいいわけです。カメラや映写機の動きがやや曖昧ならば、その曖昧な動きそのものを音声と一緒に一本の音声テープといっしょに記録しちゃえば狂わないじゃないか、開き直って考案されたのがパルス同調。映写の際に、そのちゃらんぽらんな走行の記録である信号のタイミングを読み取って、そのまま映写機を駆動できれば、音声と画はシンクロしますと言うしかけ。
外部から電気信号で映写機をコントロールできる、と言う点では、映写時やアフレコ時にいろいろな可能性が考えられます。劇場上映用のDTSシステムだって、シンクロですからねえ。
手塚眞の『MOMENT』は、6mmのオープンテープを使ったパルスシンクシステムで上映会をよくやっておりました。映写機はフジカスコープSH30。映画に使われた曲はほぼ全曲(一瞬だけ既製楽曲)映画用に製作された劇伴でしたし、いい音で聞いて欲しいと言う作家の願いが、この複雑怪奇なシステムを採用させたのでしょう。ただ、機材の不調や不備に備えて、音声トラックにも音は入ってました。
音を調整してなんとかあわせちゃおう
編集後のフィルムをテレシネして、それをもとにMAをする場合、PCを使うとイイ感じになるのでは?ソフトによっては音声スピードを変えても音程変わらないなんて芸当が朝飯前だったりします。使ったことがないので断言できませんが、きっと作業効率は別次元なんでしょう。
当方はテープでこしらえてました。カセットMTRと言う奴です。走行スピードが調節できるデッキを送り出しに使いながら、ダビングしてリップシンク取ってました。きっちりあわせても、スピード早くすれば音は高くなるし、遅くすりゃ低くなると。ダビングを繰り返しますから音質も下がります。基本的に音と画がシンクロしていない状態でやるので、ズレが大きくならないように、カセットテープをたくさん用意して、5分刻みぐらいで音をまとめていくのです。
このめんどくささたるや・・・やっぱり、PCでの編集は別次元の快適さだろうと思います。きっとそうです。
ちなみに、こんなめんどくさい事を黙々とやってくれたのが大学の先輩でして、業務用の録音機材メーカーに就職しました。こっちはアフレコ素材を録り終えたあとは、先輩にMA作業させて高いびき。それも作品のたんびに。ひどい後輩です。
一番最近の8mmは・・・アフレコ用スタジオに持ち込んじゃいましたから、ずいぶん楽で・・・。
って、結局ちゃんとした作品こしらえる時のMAは、今までずーっと人任せなんですよあたくし。
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