フジカシングル-8 ZS400は、数あるフィルムシネマカメラの中でも珍しい「光学同時録音」カメラです。
撮影しながら光学サウンドトラックを焼き込んでトーキー映画が作れるんです。
必要なモノはフィルムとカメラとマイクだけ。それだけで同時録音が出来るんです。
しかし、そもそも販売台数が極端に少なかったから中古の流通がほとんど限りなくゼロ。幻のカメラなのであります。
そんな超レア機材をひょんな事で入手しました。そしてこの個体、なんと動きます。
結果から申しますと、大きな問題はありながらも「録音できました」。
2016年現在、トーキー映画を作ろうとするとかなりの手間がかかります。果たして解決手段になり得るか?実験レポートであります。
Fujica Single-8 ZS400 (CVRシステム)
光学録音機構が生きてるのか?これが一番大事なポイントです。まず、普通のカメラとしては使えました。
これ、ファインダ設計よくて目測式でピントの山分かります。4倍ズーム。TTL。オート露出とフルマニュアル可能。
ZS400は内蔵露出計駆動用およびマニュアル露出調整用に水銀電池H-2Dが必要です。水銀電池がないと露出調整ダイヤルを回しても値は変化しないタイプなので電池必須です。
H-2Dの代用電池は持ってないので、酸化銀電池SR43を二つ縦に積んで(直列)、適当な厚みのナットで高さをH-2Dに合わせて周りをセロテープで(よい子はビニールテープを使う)巻いて即席H-2Dのできあがり。
写真左はすでに使えなくなったH-2D。寸法あわせの見本で捨てずに残してあるの。水銀だから捨てちゃダメだし。
(※関東カメラサービス製の電圧調整するタイプのH-2D変換アダプタだと露出計は駆動しませんでした)
露出調整ダイヤル。ファインダの上にある。
撮影速度は18コマと24コマと1コマ。つまり、フジカシングル-8唯一の24コマサウンドカメラです!(笑)
24コマ秒設定時に、シングル-8ロゴが正位置に来るようになっとります
なぜならば、ZS400はCVRプレーヤーという業務用テレシネ映写機とのセット運用が前提だったからです。このテレシネ映写機の標準映写速度が24fps。(※18fps対応)故に、カメラも24コマ秒の撮影速度が基準になるのであります。
玄光社『小型映画ハイテクニックシリーズ9 映像入門』より引用
[レベルメーターがあんまり振れない…]
やはり音声入力周りでトラブル。手持ちのマイクでレベルが振れるのはパソコンのマイク入力用に売られてたエレコムのアンプ内蔵マイク。こいつだけ。
単4電池2本で駆動するんですが幾らなんだってこれ抱えて表で撮影するのはちと気恥ずかしい
いろいろ選んだ結果、SHURE SM58を至近距離で怒鳴ればなんとかレベルメーターが動き、モニタヘッドフォンにも音が戻ってくる、という感じ。
なんとド定番ダイナミックマイクに行き着くというこの迂回具合。
FUJICA Single-8 ZS400テスト撮影終了。
SHURE SM58をつないで大声でナレーションしてみた。
iPhoneをつないでAUX端子から音楽も録音してみた。
マイク入力は自動で音量調節される。
AUX入力は手動で音量調節が必要。説明書にはオート/マニュアルとも書いてあるけどこの辺はよく分からない。調節はフルに回しきってもレベルメーターは振り切れない。
フィルムは、説明書曰くモノクロはダメだそうなので、最終ロット一歩手前のフジクロームR25Nを使ってみた。
しばらくぶりにれとろさんに現像をお願いしてみよう。
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