先日1月10日に富士フイルムが、
シングル-8フィルム 「FUJICHROME R25N」「FUJICHROME RT200N」
販売及び現像サービス終了延期のお知らせ
を発表しました。
この発表を受けて、各所でこの発表は報じられました。その中の一部で「販売」ではなく、「製造」も終了延長されると報じていました。具体的には、スポーツ報知とレトロ通販さんのサイト(レトロさんのサイトに1/24現在書かれていません)。ヨーロッパのfilmshootingというサイト。
しかし、富士の発表では製造について触れていませんでした。
同じ日の1月10日には、「フィルム文化を存続させる会」に富士フイルムの回答書が送られています。
この回答書には、上記の富士フイルムのサイトに書かれたことよりずっと詳しく具体的に、フィルムの予想販売期間や、それに伴った現像サービスの継続について書かれています。
しかし、かなり具体的な回答が並ぶ中、フィルムの製造については書かれていません。やや唐突に、流通出来る期限には限界があります、と書かれて理由が述べられています。たとえば、回答書では「販売期間は約3?5年間」と富士フイルムさんがこたえています。
この、予測している販売期間の間、いったいどうやってフィルムそのものは供給されるのでしょうか?
しかも、需要量によって販売期間も変わると言われています。
はっきりさせるために富士フイルムさんに直接質問しました。
[富士フイルムに聞きましたよ]
というわけで、富士フイルムお客様コミュニケーションセンターに電話をかけました。
受け付けらしい女性が簡単な説明をしてくれた後に、当方がすこしつっこんだ質問をしたところ、別な担当の方に替わって詳しく説明してくれました。
ナゾは大体解けました。以降のやりとりはこんな感じです。
Q(マディ):富士フイルムのお知らせページにあるシングル-8の販売終了の延期についてですが、延期期間はどれくらいですか?
A(富士フイルム):大体3年間の延長を考えています。
Q:「フィルム文化を存続させる会」にお客様コミュニケーションセンターの藤井秀夫センター長様の名前で、回答書が送られています。
そこには、R25Nで5年間、RT200Nで3年間の品質保持による供給可能な期間の限界があると回答されています。そして、この供給期間も需要量に変わると書いてあります。
この二つから考えると「フィルムを製造してプールしておき、(販売を続ける)」、という形になるのかと推察出来ますが、いかがでしょうか?
A:おっしゃるように、まとめ製造で間違いありません。
Q:ということは、製造の延長ではなく、あくまでも「販売の延長」というのが正しいと言うことでしょうか?
A:はい。
Q:回答書には、期間が過ぎた後の供給製造については需要量を見て検討とありますが、(まとめ製造の後に)、フィルムの製造施設他を撤去するなどの不可逆的な処理をすることはあるのでしょうか?
A:製造現場の事についてはこちらでは分かりかねることがありますが、現時点では決定していません。少なくとも、(その決定がされたかどうかは)降りてきてません。
Q:フィルムのまとめ製造はいつ行われますか?
A:社内の資料によると、R25Nが3月出荷予定、RT200Nが4月出荷予定とあります。(註:発表していいことかどうかは分かりませんが、と前置きアリ)
Q:まとめ製造の件については、オフィシャルな言葉と考えていいですか?
A:(発表はしていませんが)お客様Q&Aに用意されています。
富士フイルムさんはお問い合わせは録音することがあるそうですが、当方はメモと記憶によるもので、細かい表現は実際と異なります。しかし電話後すぐに書いたもので、事実関係はできる限りそのまま記したつもりです。
この質問で分かった事は、
●今年の1月か2月かそのアタリに、向こう3年から5年分と目される量のフィルムを製造
●製造されたフィルムはストックされて、3月から出荷開始していく予定
●現時点では、このワンチャンスの製造だけ
●その後の製造についてはまったく未定
●フィルム製造用の施設そのほかの撤去等は現在決定していない
●次回の製造には、需要その他の要素が決定には関わってくる
ということですから、1月10日に発表されたことを一番簡単に言うと、
向こう3-5年分のフィルムを1回だけ作るよ。売ってる間は現像もやるよ。
てな事だとまとめられます。
これは、製造終了の延長ではないですね。
販売と現像は終了が延長していますが、製造はたった一回だけですから。
[消費者にはマイナスな点]
今回、富士フイルムさんが言われたのは、「未来ずーっと安心してシングル-8を使っていられるようになりました!」ということではありません。向こう数年間分のフィルムを用意しておくだけですから、底をつけば終わりとなります。売れなくてフィルムが傷んでしまってもそれで終わりです。
適切な言葉使いかどうか分かりませんが、「延命措置」と言ってもそれほど間違いではないでしょう。
単なる延命ですから、このままでは間違いなくシングル-8は無くなります。
今後もシングル-8を使い続けたいのであれば、このままだと無くなっちゃうよという事を知った上で、次に何をするのか、しないのかを考えていかないといけないと思うのです。そうでないと、長くフィルムを使い続けることにとってはマイナスに働く事だろうと思っています。
[プラスに働いた点]
ただ、今回の発表でプラスに働いたことももちろんあります。
ああ、もうシングル-8は終わりなんだという、すこし後ろ向きの気持ちになっていた人に対して、可能性とか余地期間を与えたことになるのですから。
そしてさらに、一番最初に書いたワークショップの盛況の件。聞いた限りでは、カメラは持っていながらも今まで撮影したことのない初心者の方も多く参加されているとのことです。
先述の回答書で富士フイルムさんは、こう言っています。
「S-8システム全体の販売促進という意味での告知でしたら、誠に残念ながら、カメラ販売が終了して既に20年以上が経ち、カメラの無い状態で代替システム(註:この場合ビデオカメラなど)が主流となっている中、S-8の新規ユーザーの獲得は非常に難しいと考えております」
(フィルム文化を存続させる会への回答書より)
もっとユーザー層が厚かった時期を意識した発言だろうとは思いますが、敢えて言葉通りに解釈すると「告知しても新規ユーザーは出て来ません」」とだけ書いてある文です。
今回のシングル-8の販売終了時期延長のニュースがどれだけの販売促進効果を持つのか分かりません。しかし、少なくともあたくしの身近で、新たにカメラを手にしてフィルムを回した人がいたのは確かです。
そうでなくても、これぐらいじゃ焼け石に水なのかも知れませんけど、毎年新規ユーザーさんはちゃんと生まれてますよね。
また、代替システムとして挙げられているビデオ、そしてフィルムとの関係も、使い手によってはいろいろですね。と言う風に、 ユーザーがフィルムに対して思っていることと比べたら、ユーザーと富士フイルムさんとの関係はずっとシンプルですよね。
[まだわからないこと]
一体、3年だの5年だのの長い期間、どうやってフィルムを保存しておくのでしょうね?
今現在流通しているフィルムはいつ頃作られたものなのです?と富士フイルムさんに質問したところ、富士フイルムの担当者は製造の現場についてはよく分からないと前置きしながらも、
2005年の冬にカメラ店店頭からシングル-8フィルムが無くなったことがありましたよね。あの晩秋から冬にかけて製造されたロットが今販売されているものではないか、
と、答えてくださいました。
計算すると、約一年と三ヶ月程度前に製造されたものですね。
となると、今まで製造されて流通してきたよりも長い期間、フィルムが倉庫(かどこか)にプールされることになりますね。
あと、これも聞き忘れました。
スプライシングテープの販売はどうなるのでしょう?
コメント
初めて書き込みさせていただきます。
わたくし、学生時代は専門学校の映画科ということもあって8?映像を撮っておりました。
80年代前期と云う、時代的にちょうどホームビデオが登場してフィルム映像の存在が脅かされた時でもあります。
卒業してから映像関係の仕事に就いたものの、世の中はビデオ映像に塗り替えられて、わたし自身も8?フィルムに関するものはすべて散逸し、気持ちの中でも忘れ去ってしまいました。
でも近年になって、スチル写真を取り出すようになり改めてフィルムの味を愉しむことを覚えてから何かが変わってきたようです。
そんな時、富士フィルムの発表を目にして愕然としました。
「シングル8フィルム製造&現像を終了」すると!
発表の内容よりも、今だに8?フィルムが販売され現像業務を行っていたことの方に驚いたのです。ものを知らないと言うのは哀しいことですね。
もちろん、すべてがデジタル化された環境の中に埋もれてたこともあって、自分でも全く興味をなくしていたことは事実ですから、文句を言える筋合いではありません。
ですが却って8?フィルムに対する気持ちに火が点いたようです。
ネットオークションでスーパー8のカメラを落札。フィルムや編集用の備品も手に入れようと情報収集に腐心していた日々を送っていました。
すると今度は、
「シングル8フィルム製造&現像終了延期決定」とこうです!
あくまでも延命処置であることは承知しておりますが、わたしにとっては渡りに舟です。
もともとシングル派で、こちらの方が慣れているし愛着もあります。
さっそくシングル8のカメラを落札しました。
初めての書き込みで長々と、真に申し訳ありません。
世の中にはこういう出戻り派のオヤジもいることを知って貰いたくて、思わずキーを叩いている次第であります。
こちらでは色々教えて貰うことばかりで、これからも何かと情報収集でお世話になると思います、
よろしくお願いいたします。
そもそもフィルムとビデオは全くメディアが違うと言う事を認識すべきだと思います。
同じ様な事は出来ますが、フィルムメディアと電子メディアでは出来る物は全く違うと言う事です。
片方で全てを補える物では無いと思います。
私のサイトも立ち上げて1年が過ぎました。
はじめは、こんなマニアックなサイト見る人いるのかな?と思っていたのですが、結構アクセスがあるようです。日本だけでなく海外からも質問のメールをいただきます(かなり細かなこと聞いてくる)。
フィルムマニアの中には、フィルムのすばらしさを強調するあまり、ビデオやテレシネを否定するヒトがいますが、全てにおいてフィルムが優れているなんてことはありえません。そんなに優れたメディアなら、どうして絶滅に瀕しているの?とツッコミ入れたくなります。
私のように、フィルムの質感は好きだけど、切ったり貼ったりしたくない。再生するのに、いちいち部屋を暗くして映写機をセットしたくない。というユーザーは多いんじゃないでしょうか。
デジタルとの融合でフィルムの可能性が広がるのは間違いないでしょうね。
撮影は8?フィルム、テレシネかけて編集はデジタルで。というパターンは思いのほか普及していくかもしれませんね。
特に上映等、他者に広く観せることを考えたら避けて通れない問題がたくさんありますし。
わたしは、久しぶりの8?フィルムを満喫するため、スプライサーと映写機を入手しましたけど。^ー^;
8ミリフィルム撮影の楽しさ、奥深さを実感できるワークショップが出来たらいいですね。
また、昔ながらのフィルム上映の美しさを「魅せる」機会を増やすと共に、デジタル融合による、8ミリフィルムDV仕上げ作品の、更なる技術的向上と手軽感、そのどちらも今後の課題だと思います。
今回の中止をうけての8ミリ愛好者達の活動で、シングル8延命のニュースが波紋を呼び、ユーザーが確実に(出戻りさんも含めて)増えつつあるのは確かな気がします。
来月2月3日シネマアートン下北沢8ミリだらけのオールナイト、いよいよですね!
篠原哲雄監を迎えての、山崎幹夫氏、マディ折原視8ミリトークバトル?楽しみです!
なにとぞよろしくお願いします。