シングル-8サウンドカメラって、サイレントマガジンは使えるけど、サウンドマガジンを入れると録音部でフィルムが詰まってしまう中古がとても多いです。
これはシングル-8サウンドカメラの「録音部分」のフィルム送り機構が劣化してるからなのですね。
サウンドカメラは、フィルムを送る部分が2箇所あるのです。撮影するところと、録音するところ。
撮影してる場所はフィルムのパーフォレーションを爪で掻き落として進めていますが、録音部分はピンチローラーというゴムローラーと、キャプスタンという金属の軸でフィルムを送ってます。安定して走行させるために、はずみ車をゴムベルトで回してます。「カセットテープレコーダー」とよく似てる構造ですね。
解剖その1
まず、写真ではグリップを切り取ってしまってますが、これは手順ミス。
多分、グリップの本体のねじ4つ外して、リード線を切らないようにグリップに隠れてたねじ2つ外すのが本筋でしょうが、とてもやりにくいのでグリップ側でリード線ぶった切って作業進めてます。今回はご遺体の解剖研究なのでこれでイイとしますが、修理はもっと丁寧にやらないと逆に手間が増えますね。
この電解コンデンサはグリップの基部の空洞に押し込められていました。容量は全部同じ6.3Vの470μF。(AXM100やZXM300にはなかったような気がするのですがね…)ZXM500を修理する際には電解コンデンサも用意しないと。
さて、解剖を進めます。
カメラ側面のレンズ下の貼り革を剥がした下のねじ1つを外して、
カメラ正面のレンズ下の貼り革をむいて、ねじ1つ外して、
カメラてっぺんのアクセサリーシューの黒い金属化粧板をはがして、下のねじはずして、
フィルム室右下のねじをはずして、側面の樹脂カバーをそーっと剥ぎ取ると、
基盤が露出します。劣化したモルトプレーンがそこらじゅうに産卵しています。
この個体は、電池の液漏れがグリップから本体にしみこんだらしく、基盤のリード線近辺から、基盤裏にあるモーターまで腐食が進んでました。つまり、保存してあるときに天地逆になってたわけね…。
グリップを外すためには、基盤左下の黒、赤、茶色?のリード線をはんだごてで外します。グリップには3本のリード線が行ってるので。コンデンサのリード線はそのままでもよさそうです。
さらに、本体から基盤につながってるはんだを外していきます。写真とメモ取っておかないとダメでしょうね。
解剖その2
逆サイドから攻めます。
貼り革を先に剥ぎ取ります。「SOUND」って書いてあるのは剥ぎ取らなくていいです。
ねじを外していくとカメラが三枚におろせます。
※リード線は切って作業してます念のため
※ピンチローラーも取り外してあります。
で、本体にまだ残ってるモーターと録音ヘッド基盤をはずすと、ようやくはずみ車に会えます。
これがモーターからはずみ車を駆動させるベルトですね。ゴムベルトは長らく使わないとこういうふうにたまご形が付いちゃいますがホントは正円じゃないとダメ。尖ったところで走行スピードが変わっちゃうのですよね。なので、ZXM500をサウンドカメラとして復活させるためにはベルトの代用品を探す必要もあることがわかりました。
前後しますが、これがピンチローラー。大抵のシングル-8サウンドカメラはいまとなってはここがカチカチでひび割れていたり、すり減って変形していたりしてフィルムをちゃんと送ってくれません。あと、フィルムに塗りつけてある磁気帯が削れてこびりつき、サビサビで固着しちゃってるのもあります。
このジャンクはすり減りはそこそこで、ゴムはまだ柔軟性があってひび割れも微量なので、摘出してゴムのメンテナンス薬剤を塗布して様子を見ています。うまく復活するようでしたら、他のもうちょっとマシなジャンクの移植手術に使用しようと思ってます。
シングル-8サウンドカメラ復活のためのメモ
分解にははんだごて絶対必要
ZXM500の補修材:電解コンデンサ6.3V 470μF、伝導ベルトの代用品、良き状態のピンチローラーの3つは必要だろうなあ
というところですね。
でも、ホントはZX550を直したいのよね…ZXM500あんまり好きじゃなくて。
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