8ミリを生き抜く!シリーズその2:第1回「サヴァイヴァル8」振り返ってみる

8ミリを生き抜く!と高らかに宣言する8ミリフィルム作品上映会「サヴァイヴァル8」の第1回目の存在は私まったく存じませんでして、ネットを検索するとチラシが出てきました。そして、チラシにはこんなメッセージが書かれていました。さて、第2回サヴァイヴァル8で感じたモヤモヤはスッキリするかしら…

8ミリフィルム作品上映会「サヴァイヴァル8」
(2014年11月15日 於ASYL)

長い間身近な映像制作手段として親しまれてきた8ミリフィルム。簡便ですが、独特の画質と相まって多くの作家たちを魅了してきました。しかし、今では存亡の危機にさらされています。すでにカメラや映写機などの製造はなく、昨年には国産のシングル-8のフィルム販売や現像サービスが終了しました。致命的であったと言えます。
それでも8ミリフィルムを活用しての映像制作は、こうした事態に及んでも途絶えることはありません。困難な状況下にあっても、多くの作家たちがそれぞれの仕事を継続させているのです。自分で現像したり、あるいは、直接フィルム面に描いたり、さらには、新規に装置を開発したりと、多様な展開が見られます。8ミリフィルムの全盛期には見られなかった、新たな局面が出現していると言って良いでしょう。
この「サヴァイヴァル8」は、昨年福岡で開催した上映会参加作品を元に、各地の最新の動向を加えて構成したものです。8ミリフィルムの可能性は汲み尽くされているわけでもなく、むしろ今後のさらなる活動が必要と思われます。永遠に続く逆境の中、いかにして制作を存続させるか、出品作品それぞれが、この問いに答えようとしています。

なるほど、この宣言文は、8ミリの歴史をある程度知ってる人に向けてるようですね。たとえば、

「長い間身近な映像制作手段として親しまれてきた」「簡便ですが、独特の画質と相まって」

このように、過去について言及されておられるからです。でも、書き手さんにとっては、どの期間身近で、誰にとってどれぐらい簡便だったと認識されておられるのでしょうか、さらにモヤモヤが増えた気がしますねー。

「すでにカメラや映写機の製造は無く」

国内メーカーによる8ミリカメラと8ミリ映写機の新商品リリースは1982年が最後でした。そして、1984年には旧型も含めてそれらの機材出庫もすべて終了したと当時、新聞でも出てました。(※スプライサーとかは除く)
つまり、およそ30年以上からカメラとか映写機の新品はほとんどないので(※例外あり)、製造が無いことを取り上げて8ミリの危機的状況を語るのはちょっと今更な気も致します。むしろここは、昨今の8ミリ事情をご存じない方に向けて書いてるようにも見えます。うーむモヤモヤ…。

あくまで私見ですが、機材の新陳代謝がないのにフィルム供給を30年以上も続けてるメーカーが存在して、新品カメラも映写機もないのに30年間以上も撮影と制作が続けられているこの状況は、かなり希有だと思うのであります。この「続いてること」にスポットライト当てて語ってみてもいいのかなと思ってます。

「昨年には国産のシングル-8のフィルム販売や現像サービスが終了しました」「致命的であったと言えます」

シングル-8の終焉が一番大きなきっかけで、8ミリ映画制作継続に致命的であったと設定されておられるのですね。

ただ、少し補足しますと、シングル-8のフィルム販売と現像サービスは同じ年に終わったのでは無いです。シングル-8フィルムの出荷はその前年2012年3月が最後のメーカー出荷で、同年2012年いっぱいでほぼ店頭から姿を消してました。そして記事にある「昨年」にあたる2013年の9月30日が富士フイルムの調布の現像所の最終現像受付で、そこが富士フイルムによるサービスの最後のタイミングでした。http://fujifilm.jp/information/articlead_0011.html

また、この2012年から2013年にかけては、スーパー8を含んだ映画用フィルム状況もにわかに悪化していった瞬間でした。
たとえば、2012年12月12日に、コダックは映画用フィルムのエクタクローム100Dの製造終了を発表してます。
http://wwwjp.kodak.com/JP/plugins/acrobat/ja/corp/news/2012/201212.pdf

これらを踏まえて、東京都内のカメラ量販店からは2013年1月には店頭在庫が消えていました。

8ミリフィルムの今後について/エクタクローム100D生産終了

このタイミングから、コダック純正で提供されている小型映画用フィルムは、モノクロリバーサルフィルムのTRI-Xと、カラーネガフィルムであるVISION3の50D/200T/500Tの3種になりました。これらはヨドバシカメラやビックカメラなどの大手カメラ量販店の店頭にもありますし、同社の通販でも買えます。

2016年現在もカラーリバーサルフィルムを使った小型映画用生フィルム商品は存在します。ですが、8ミリ/16ミリ機材の専門店が写真用フィルムを加工した物ですからどこのカメラ店でも売ってるというものではありません。

いずれにせよ、カラーリバーサルフィルムでの小型映画制作は、2012年から2013年にかけて、富士とコダックの両社の決定により、手段が狭められて現在まで根本的な解消がされてないのであります。

そしてそんな状況を踏まえて、ユーザー側が変化していったと書かれています。

「自分で現像したり、あるいは、直接フィルム面に描いたり、さらには、新規に装置を開発したりと、多様な展開が見られます。8ミリフィルムの全盛期には見られなかった、新たな局面が出現していると言って良いでしょう。」

ワタシの身の回りでも自家現像に挑戦する方は増えました。これは現像サービスの窓口が減ったことと、料金の高騰が直接の理由かなと感じています。身の回りに挑戦する人が増えたので、心理的なハードルが低くなって、ワタシもチャレンジしました。
直接フィルム面に描いたり…これは大昔から親しまれている表現方法です。シネカリとか手描きアニメを試みる人は、フィルム供給事情が悪化したからなのですかね…?表現方法として面白そうだからではないのかしら…?
新規に装置を開発したり…これは下記の出品一覧にあるレフシー8試作版の事を指してるのかしら。
レフシーは紙製フィルムのおもちゃ映写機のひとつですが、8ミリサイズ版を試作されたのかしら?(参考:学研『大人の科学』の紙製フィルム映写機)
http://otonanokagaku.net/magazine/vol15/

いずれにせよ、現像を自分でやる!撮影も現像もしない!さらには8ミリフィルムそのものも使わない!という試みが作家側から成されてるのですね。8ミリから8ミリ的な表現方法を模索する人がいる、とイベント主催者は主張されているのだと思います。

「8ミリフィルムの可能性は汲み尽くされてるわけでもなく、むしろ今後のさらなる活動が必要と思われ」

最初にも述べておりますが、第1回の作品は拝見しておりません。ですが、このチラシの文面ならびに第2回の作品群から想像するに、8ミリが持つ機構やそのものの身体性に依拠した力作が揃っているのでありましょう。

ここまで読んできて分かるのは、第1回のサヴァイヴァル8は「8ミリフィルムの利用者の思いを、作家の作品や制作手段のあり方を通じて、具体的に語らせる」という主旨の元に開かれたイベントだったのだろうと言うことです。

しかし、主催者の方が考える「8ミリの危機的状況」がどうも曖昧なのが気になります。
この「サヴァイヴァル8」の主催者の方は作家サイドに立脚されているのでしょう。活きて活動してる姿を見せる、そのサヴァイヴァルの生き様を見せれば分かるでしょう、というアプローチなのでしょう。
しかし、どういう状況からどう「サヴァイヴァル」していきたいのか?というのが見えてきません。もろもろを取り巻く客観的事実と利用者の個々の事情と希望と照らし合わせると、シーン全体が一貫してとらえられるように思います。

そして「どう」サヴァイヴァルしていきたいかというところもモヤモヤしたままです。本当にこの表現手段は、利用者個々人にとって求められている物なんだろうか?さらには本当にサヴァイヴァルしていこうと考えてるのか?

そこは、上映会に行っていない人間には分かりません。どこかにレポートがまとまっているわけでも無く、チラシから読み取るしか手段がなかったのであります。

そして、作品はそれぞれ楽しそうなのでありますよ↓

プログラム第一部(43分/8作品・全て2013年制作)

2013年11月、福岡にて開催された「GoodBy LAB」に出品された8ミリフィルム作品
川口肇(東久留米市)<<CRAYON>>
黒岩俊哉(福岡市)<<Ma-no-Me>>
堀内孝寿(福岡市)<<KINKAI>>
中原千代子(福岡市)<<Sans Suite>>
香月泰臣(福岡市)<<夜を狩る>>
山本宰相(福岡市)<<RE-MIX>>
宮田靖子(大阪市)<<ひかりぬけて>>
森下明彦(神戸市)<<レフシー8・試作版>>+パフォーマンス

プログラム第二部(65分/15作品2014年制作)

黄木可也子(山形市)<<ぼろ>>
黄木優寿(山形市)<<くもわたるふねひとつ>>
大橋勝(藤井寺市)<<随に>>
岡田彩希子(藤井寺市)<<不眠>>
荻原貴之(神戸市)<<つながる>>
香月泰臣(福岡市)<<瞬きのその前に>>
川口肇(東久留米市)<<wired-glass>>
小池照男(神戸市)<<生態系・22・輪廻>>+パフォーマンス
中原千代子(福岡市)<<Sans SuiteⅡ>>
能登勝(岡山市)<<1979-2001>>(2011年)
平田政孝(京都市)<<午睡のあとで>>
堀内孝寿(福岡市)<<LOST>>
宮田靖子(大阪市)<<海月>>
宮本博史(大阪市)<<わたしたちの過去に関する事柄>>+パフォーマンス
山本宰(福岡市)<<2014・11・15関西上映のための作品>>

そして、第1回サヴァイヴァル8の作品は2015年に福岡で上映されていたそうです。

 2015年12月12日には、関連展示「個人映画の制作現場」展というのを併設していたのですね。

そして、メッセージは2014年と一緒でありますね↓

今年2016年の第2回サヴァイヴァル8でのイメージフォーラムの入り口同様に、8ミリ映画機材の展示を行ったと言うことでありましょう。個人映画制作の現場と過程を伝えるのでありますと。

さて、一体個人映画制作の現場はどうなってるのでしょうか?

さらに!次に続きます。

「8ミリを生き抜く!シリーズその2:第1回「サヴァイヴァル8」振り返ってみる」への1件のフィードバック

  1. 正直な意見でいうとカメラの新発売がなくなった時点でもうメーカー側から終わった(見切られた)わけであり、民生機VTRがデジタル化した時点で、PRO化して成り上がったような出来事を自ら起こさなかったメーカー側が、8MMが全盛期でも主力になりえないとみなしていたからでしょう。コダックの動きは30年遅いのでありスマホでフィルムルックすら撮れるだけでなくハイスピードもとなればそこには8mmで映像作品を作る自分も含めたパフォーマンスであり、そこには撮るわけでもなくFM2を持って渋谷をうろついているカメラマン気取りの意識高い系にしか見えず 活動自体は素晴らしいと思えるがソコから先には進めない、こういう人たちに日本にもコダックのカメラみたいにフジに働きかけてみたらというとハリウッドの監督たちは金持ってるからできるんだといって動きゃしないしね。

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