「8ミリで生き抜く!」と宣言するイベント「サヴァイヴァル8」があるのを第2回ではじめて知りましたです。
メタ・フィルム・マーヴェラス/MFM(Meta Film Marvelous)とフィルム・メーカーズ・フィールド/FMF(Film Makers Field)という2団体共催で各地で2年も前から上映を繰り広げてるというのに…不勉強で恥ずかしいです。
ところで、「8ミリで生き抜く!」ってどういうことかしら?
世紀末で拳法を使う戦士が覇権を競うような感じ?
それとも8ミリのゾンビがうようよしてる世の中を猟銃とかボーガンとか抱えて戦う感じなのかしら?まずはチラシから読み取ってみると…
第2回サヴァイヴァル8のチラシに主催者側からのメッセージがありますね。まるっと転載すると…
誰が宣告したわけでもないのですが、8ミリフィルムは終わったと一般には思われているようです。一昨年(2014年)、福岡のフィルム・メーカーズ・フィールド主催の上映会「GoodBy LAB」に接続し、発展させようと、「サヴァイヴァル 8」を開催しました。この時、15名の作家の出品をみました。今回、第2回の「サヴァイヴァル 8」開催に際して、主催者からの呼びかけを前回より広範囲に行い、ヴェテランから若手まで合わせて22名の作家の参加となりました。絶望的な逆境にもかかわらず、8ミリフィルムによる制作活動は存続しています。そこには何か本質的なものが潜んでいるように思います。作品制作とは機材や材料に依拠したものではないと言う認識もそうでしょう。それも含め、「8ミリで生き抜く!」という覚悟は、表現一般とは何かを改めて確認することにつながっていくと信じています。
8ミリフィルムは終わってないですね。終わったと明確に語ったのは開発メーカーの富士フイルムによるシングル-8ビジネスと、ポラビジョンとかです。そのくだり以降は…うーん、難しいよくわかんないバカでお恥ずかしいです。
でも、「8ミリ制作活動が続いていること」に「何か本質的なものが潜んでいる」らしいので、とにかく会場で探してみましょう。
開催期は12月16-17日、場所は東京・渋谷のシアターイメージフォーラム。11/11-13に京都Lumen Gallaryで行われた第2回サヴァイヴァル8の東京公演という位置づけのようですね。ワタシは12月17日の午後の第2部から参加しました。
会場の前には、8ミリ映画制作機材が展示されてます。撮る!編集する!上映する!の3ステップのご紹介。
フィルムは…シングル-8フィルムはフジクロームR25アフターレコーディングと、フジクロームRT200サウンド、フジクロームR25NとRT200N。スーパー8フィルムはエクタクロームVNFと、Plux-X、ダブル8のコダクロームⅡの7種類…
えー?なんか不思議。なぜ現行のフィルム商品がないのかな?
この7種類は全部、廃盤商品です。「8ミリフィルムは一般に終わったと思われてる」そのもののフィルムです。
なんで、現在も継続して製造されてカメラ店で販売されてるコダックのトライ-X、VISION3の50D/200T/500Tの4種類の製品や、レトロ通販やWittenerなどの専門店限定のサードパーティ製フィルムを並べなかったんだろう?
もしかして”サヴァイヴァル8”が考える「8ミリで生き抜く!」ことは、ゾンビ映画が描く世紀末のように、文明の遺物をほじくり返し漁ってなんとか生き延びていくことなのかしらん?そういうメッセージなのかな?「生き抜く!」は。
ますます分からなくなってきましたので作品を見ましょう。制作活動に本質があるというのですから。
「8ミリ生フィルムのすべて」奥山順市/14分/スーパー8・シングル8・ポラヴィジョン・ダブル8・ダブルランスーパー8/18・24FPS/サウンド(マグネ・光学)
「assemblage」中原千代子/2分/シングル8/18FPS/サウンド(CD)
「等価慣性介助ス」大橋勝/4分/シングル8/18FPS/サウンド(CD)
「刻【トキ】」小池照男/8分/シングル8/24FPS/サイレント
「ヴィンテージ・ミル」加藤到/6分/シングル8/18FPS/サウンド(マグネ1トラック)
「marginale」宮田靖子/3分/シングル8/18FPS/サウンド(マグネ1トラック)
「川赤児」德永彩加/3分/シングル8/18FPS/サウンド(CD)
「サヴァイヴァル5+3」芹沢洋一郎/7分/シングル8/18FPS/サウンド(CD)
「遭難」堀内孝寿/5分/シングル8/18FPS/サイレント
「ラングーン発」かわなかのぶひろ/8分/シングル8+スーパー8/18FPS/サウンド(CD)
「藍にゆく粒の声」黄木可也子/10分/シングル8/18FPS/サウンド(CD)
ここまでで約1時間みっちりですが楽しいです!8ミリの素材感を慈しんでる作品が目立ちます。そして、ベテランの何名かは「サヴァイヴァル」のネタ振りに沿った題材と表現を盛り込んでおられましたですね。
サウンド(CD)は、サウンドトラックからではなくてCD音源を併行して再生して簡易的なトーキー表現をするということでしょう。厳密なシンクロが求められるような作品はなかったようです。
力作にいささか疲労を覚えたところで中入りで作家のトークでありますね。左がMFMの代表の森下さんという方だそうです。右のブルーの石川亮さんは映写技師もつとめてます。映写機の頻繁な取り替えや回転数の調整だの、トリッキーな作品が多い作業でさぞかし疲れたことでありましょう。
トークの後1時間して第一部の上映ですから一旦バラしです。
第1部は、11作品で上映時間62分。
「再定義、反定義。」平田正孝/10分/スーパー8/18FPS/サウンド(CD)
「あし」早見紗也佳/3分/スーパー8/18FPS/サイレント
「Kodachrome 40 sound movie film」太田曜/6分/スーパー8/24FPS/サウンド(マグネ1トラック)
「香港」三谷悠華/7分/スーパー8/18FPS/サイレント
「春光呪詛」石川亮/5分/スーパー8/18FPS/サウンド(CD)
「かつぎめのいろこ」黄木優寿/3分/スーパー8/18FPS/サイレント
「三秒映画」山本宰/3分/シングル8/18・24FPS/サウンド(CD)
「цвет фильм【color film】」末岡一郎/6分/シングル8/18FPS/サウンド
「親しい鏡」岡田彩希子/3分/シングル8/18FPS/サイレント
「月末」森下明彦/9分/シングル8/18FPS/サウンド(CD・マグネ1トラック)
「clock-wise」川口肇/6分/シングル8/24FPS/サウンド(CD)
第一部と第二部にそれぞれ、客いじりをするタイプの作品が振り分けてあるのですね「三秒映画」が第一部ではソレ。…いやあ痛快。第二部では「8ミリ生フィルムのすべて」がソレ。…いやあ悪戯が過ぎますわよセンセ。
単なる趣味なんですけど、モノクロのざらざらした曖昧な映像を見て脳みそとシンクロをする瞬間があるとすごく得した気分になるのですが、今回も1本あって良かった。(たぶん「あし」だと思います)
「月末」も面白かったっすね。中古カメラに入ってたサウンドフィルムを現像せずに映写するという試みは、どんな風景が展開されてるのか想像する楽しみがありまっす。音から画を想像する…単なる宅録テープだとここまで脳みそ働かせませんしー。
第二部のように「サヴァイヴァル」のテーマを、正面から語りあげる作品はなかったですね。
やはり作品はとても面白かったっす。
でも、やっぱり、何が「サヴァイヴァル」なのかよくわかんない…
そもそも、サヴァイヴァル8は2014年からスタートしてます。その最初の段階の定義ってなんだったんだろう?
本記事、続きます。
→第1回サヴァイヴァル8について
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