Fujica Single-8 ZS400
Overview
サイレントフィルムに光学式同時録音ができるという、シングル8、スーパー8の中でもっとも奇妙きてれつなカメラ。
これは、富士フイルムが1971年に提唱した、8ミリ映像をテレビで見るためのシステム「CVRシステム」(シネ・ビデオ・レコーディング)の末端機器として開発されたものです。
このシステムは映写機「CVRプレーヤー」がメインの機材で、これ自体は昔の8トラックオーディオカセットデッキのような形をしています。内部はGOKOのTC-20のように多面体プリズムが内蔵されていて、これを撮像管で撮影してテレビの信号として出力する構造になっています。フィルムは「CVRパック」というカートリッジに入っているので簡単にセットができます。このパック自体は、他のTM40映写機などでも採用されておりました。
主に社内プレゼンや資料用映像に業務ルート向けに開発、販売されていたものです。そのためか中古市場でほとんど見たことがありません。
このカメラは他の機種の改造ではなく、フジのシングル8には珍しく横にグリップが付いています。全体的にデザイン上の遊びがなく、がっしりした作りに見えるのは業務用途メインだったことによるのでしょう。
撮影時には、カートリッジからフィルムをぐぐっと引き出して光学録音ヘッドにかませてないとだめです。カセットポン!私にも写せますってわけにはいきません。
撮影コマ数は18コマと24コマ。撮影したフィルム自体は市販の光学録音式映画ソフトと同じく、光学再生機能を持つ映写機でかかります。もちろん、撮影後はアフレコや音の消去ができるはずもなく、編集したら音がとぎれます。いろいろと不便なのですが、改変が不可能な分だけ記録保持の点からは信頼がおけるといった利点を(それこそ、現在も利用されている8mmフィルム監視カメラのように)売りに作られたのでしょうか。
しかしその後シングル8のシングル方式同時録音カメラは、コダック・スーパー8に遅れること数年、マグネ式サウンドカメラの発売の1976年までありませんでした。(マディ)
写真協力:(C)hanai
Impression
実物をいじったことはおろか、見かけたこともありません。スペック覧が歯抜けなのはそのせいです。
参考資料:小型映画ハイテクニックシリーズ9映像入門(玄光社刊)、カメラレビュークラシックカメラ専科44富士写真フイルムのカメラ(朝日ソノラマ刊)
(2004年4月 スペック欄を修正)
本写真を提供してくださったhanai様曰く、あまり音質は期待できないとのことです。基本的に現行で販売されていない、別のフィルムでの録音撮影を想定していたからでしょうか?モノクロだったらどんな音質になるか、是非聞いてみたいところです。
なんと購入致しまして、使い始めております。レポートはこちら。(2019年2月マディ)「世にも奇妙なカメラ フジカZS400で撮るその1」
Spec
メーカー:富士写真フイルム 1971年12月
レンズ:フジノンZFf1.8 9-36mm
ファインダー:一眼レフ式、視度調節可能
フォーカス合わせ機構:目測式
露出:Cds外測式EE、マニュアル調節可能 (要H-2D水銀電池または代替品)
フィルム感度設定
撮影速度:18・24コマ
特長・オプションなど
大きさ/定価:91x222x187mm 2200g
コメント
はじめまして。
先日、このZR400が物置からかなり綺麗な状態で出てきました。
私は特に興味は無いのですが、これは価値のある商品なんですか?
もしよろしければ教えて下さい。
いただいているコメントは、フジカZS400という機種についていますが、お持ちの機種はフジカZR400でございましょうか?ワタクシも時々書き間違えをしてしまうのですが、ZS400とZR400は見た目も異なる別機種でございます。ZR400も比較的珍しい機種ですが、ZS400はそれ以上に珍しい機種です。ただし、シングル-8フィルムがなくなった現状ではその価値を発揮することが残念ながらできないと思います。