90年代アタマに撮ったフィルムが酸っぱく臭くなってしまった。
昨年映写した際には気にならなかったのだが、正月に保存用のビニール袋を開け、ケースから出したら、「ムッ」と酸っぱい臭い。ビネガーシンドロームのはじまりだ!
ビネガーシンドロームは、TACベースフィルムが、高温多湿の環境である一定以上保存されていると、フィルムベースが化学変化を起こして酢酸を生じて劣化していくと言うものとのこと。
ベースが劣化していくのでフィルムがカールしたりゆがんだりまるで乾燥わかめのようになり、そのうち上映できなくなる。柔軟性が失われてすぐ切れるようになる。
ひどくなった例。これは先日購入したレギュラー8フィルム。
昭和37年~38年撮影の富士写真フイルム(当時)のモノクロフィルムであるネオパン。こちらはぐっちゃぐちゃにゆがんだ上に猛烈に臭かった。
この頃のネオパンは写真用フィルムでも劣化が深刻でネット上でもいろいろな方が憂慮している。それはともあれ1962~1963年と言えば半世紀も前。
一方ワタシのは1990~1991年のコダクローム40やエクタクローム160A。たかが20年前だ。こんなに早くビネガーシンドロームの魔の手は襲いかかってくるモノか?
焦って他のフィルムをチェックする。
・・・あれ?現像所から上がってきたサービスリール(50ftのリールね)に巻いてある奴は全然臭くない。別のリールに巻いたモノでもケースに入れてないモノは臭くない。
・・・密閉してたものがダメなのか???
まとめてみた。この写真で一番左の上にある、リールむき出しのものと、その下のサービスリールのものは全然臭くない。
左から二番目のものはちょっと臭い。
一番左下のサービスリールに巻いてあるものと同じと思うだろうが、状況が実はちょっと違う。
リールに切れ目のある方がケースに隠れている状態で保存されていたモノなのだ。
アップの写真で説明しよう。
左のリールは、フィルムを軸に引っかけるための切れ目がある側が上になっている。右のリールはその切れ目がある側が黄色い蓋上のケース側に隠れている。
ビネガーシンドロームで生じるのは酢酸ガス。やっかいな事にこの酢酸ガスがさらに触媒となって劣化を加速させる。いっぺん発症すると坂道を転がるように、自ら発したガスで一気に症状が進行してしまうのだ。
だからこのガスが生じた際には密閉していない方がいい。空気の入れ換えがあった方がいいということになる。(空気を含む一切のガスにさらされない状態があれば望ましいのだろうか・・・)
さて、一番上の写真に戻るが、左から三番目のプラスチックリールに巻かれて透明プラケースに入れられたモノ、これはにおいがする。さらに完成した作品はこのケースをビニール袋に入れて、中にフジカラーカビ防止剤を投げ込んでいましたが、これが一番臭い。
そもそもですが、ワタシはフィルムの保存にはナカバヤシのCAPATY DRY BOXというのを使ってます。毎年梅雨時には上記カビ防止剤と乾燥剤を入れ替えております。
まあ、それでもダメだということなわけで、新たな対策が必要だろうと思います。
そして、すでに発症してしまったフィルムをどう対処するか?
テレシネして保存することもいよいよ本格的に考えなくてはならなくなってきたが、その前にフィルム自体を「治療」もしくは症状の進行を抑える方法は無いものだろうか。
正月から気の重い8ミリネタでスタートする、film club blog。
今年もよろしくであります。
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