気軽にTri-Xのモノクロリバーサル現像にトライ

現像

モノクロリバーサルってスチル写真だとあまりメジャーではありませんが、小型映画ではとてもメジャーなフィルムです。

現在でも、コダックはTri-Xを、FOMA(ふぉま)ではFOMAPAN R100を、ORWO(おるゔぉ)ではUN54を…と映画用を写真用途と共用ですよと販売していますね。

フィルムをポジとして利用するのにはベースが透明なのが条件になりますね(いや、ネガ用のグレーベースを反転現像しても別にいいですが)

かつてはモノクロリバーサル現像薬品キットって販売されていたのですが、随分と長い間日本では販売されてないですね。ポイントは漂白。漂白させるお薬が毒性が強いのよね。

ところが最近、かなり安全で環境負荷も低い現像剤キットがリリースされていました。

それがこちら、西荻窪のSilversalt社が取り扱っているドイツ製のモノクロリバーサル現像剤キット
ADOX B&W REVERSAL KIT」です。

キットは、2種類の液体と、アルミ袋入りの粉薬1種類の合計3種類のおくすりが入っています。

これで2リットルの薬液ができて、最大8本のフィルム(35ミリスチル用でしょうねえ)が処理できるそうです。

「どんなモノクロフィルムも現像でき」るけど、「銀がたっぷり使ってあるフィルムがイイ」と書いてあります。

新しい設計のモノクロフィルムって銀が少なめですから、これは設計の古いフィルム向けだ!と勝手に曲解しました。

ってことは、今回現像しようとしてるKodak Tri-Xは現在のTri-Xと違う古い処方なので適してるはずだ!思い込みました。
んで、そのうちコダクロームを現像したいなとも考えてます。
コダクロームはカラーフィルムですが構造はかなりモノクロフィルムですから…とここまで来るとチャレンジこじつけです。

ということで、今回の狙いは
トライXをできるだけ安全かつ環境に優しい方法で現像しようです。

今回使用するタンクの容積は1リットルなので、2リットル用の本キットの半分を使います。

第1現像の原液500ml+水500ml=1lを作成します。これは第2現像にも流用します。
漂白の原液500ml+水500ml=1lの漂白液を作成します。
粉剤はClear Bathって書いてあり、黄ばみを防止するそうです。こちらは半分の50gをポリ瓶に入れて、500ml水を加え、よくかき混ぜて全部溶けてから更に500mlの水を加えて1l作成します。

薬剤用のポリ瓶が足りなかったのでペットボトルにしましたが、誤飲とか廃棄後の問題とか色々あるので飲料用の容器の流用はダメ

スパイラルリール現像じゃなくて、900ml現像タンクにフィルムをクシャクシャにぶっこんで現像する横着作業なので、よく試みられてるドライウェルをフィルムの貼り付き防止に前浴させる方法を転用して…作業内容は下記の通り。追加した作業部分は色を加えました。常識的なフローですね。

今回お借りした暗室の水道水が24℃で、説明書にSCALA160フィルムの処方として24℃の時間調整が載ってたので、Tri-Xにはフィットしますからこちらのフローを遵守して進めてみました。

SCALA50(20℃)SCALA160(24℃)薬品作業内容
前浴4分4分ドライウェル
第一現像14分9分第1現像液初め1分連続→1分ごと10秒
水洗2分30秒2分30秒4-5回水を替えてよくすすぐ
漂白4分6分漂白液ゆっくり連続攪拌。攪拌しすぎ厳禁
水洗2分30秒2分30秒4-5回水を替えてよくすすぐ
クリア浴4分4分クリア浴ゆっくり。
水洗3分3分とてもしっかり水洗する
再露光2分を両面2分を両面白熱電球または蛍光灯  – 白熱電球 100〜150W、45〜80cm  – 蛍光灯 30〜40cm離して、表2分、裏2分合計4分露光させる※直射日光は厳禁
第2現像6分6分第1現像液フィルムをタンクに戻して、第1現像液を再利用。
水洗3分3分
定着4分以内4分以内タンクから出して富士フィックスで定着。
最終水洗6分6分とてもしっかり洗う。
水切り乾燥適宜適宜ドライウェルドライウェル液にざっと浸して、フィルムスポンジで水切りをしながらハンガーにつるして乾燥させる

前浴
24℃のドライウェル1リットルで4分。1分撹拌して1分ごとに10秒撹拌。
廃液はほぼ色の変化なし。

水洗2分30秒。

第一現像。
24℃できっちり。1分撹拌して1分ごとに10秒撹拌
薬液は第二現像に流用するのでしっかりボトルに戻します。少し色が付いたかな…という程度。

水洗2分30秒。

漂白
こちらも24℃きっちり。6分でゆっくり連続撹拌と指示されたとおりにやってみます。注意書きとして、撹拌させ過ぎると漂白オーバーになるとあるので、ゆっくりゆっくり赤ちゃんをあやすように…液はヨウシュヤマゴボウみたいな毒々しい紫色でしたが、廃液は少し濁った感じ。

水洗。

クリア浴
Clear bathって書いてあったのの直訳なんですが、ワタシこの作業初めてで、適切な翻訳かどうかわかんないっす。黄ばまないようにするためのものだというのですが。

んで、ここでボトルを開けられます!

バケツにぽい。

おー。
しっかりネガ像出てますね。ん?漂白後に像が残ってるって…漂白出来てるのかな???
ちと心配になります。まあ、ここまで来たら最後までやってみましょう。

再露光です。
両面からそれぞれ2分光を当ててくださいと書いてありますが、これってリールに巻いてあるのを想定されてるので、合計4分やりゃいいわけですよね。

意外だったのは、蛍光灯と白熱電灯で処理してね、直射日光は厳禁、とあること。なので、蛍光灯に近づけて4分、フィルムをひっくり返しつつ光をあてます。

現像タンクに詰めなおします。

第二現像。先ほどの第一現像の薬液を流用です。
撹拌頻度の指示はありませんので、第一現像と同じでやりました。

水洗。

定着。
説明書にはラピッドフィクサーとか書かれていましたが、富士のは定着&硬膜化液ですから遅い奴。
ああ、だから4分超えちゃダメって書いてあるのか…富士のは遅いやつだからもう少し眺めにやらないとダメだったかな…

水洗して…
さて、ボトルから出して…

おおおおお、ポジ像になってますよ!
フィルムのフレームがちゃんと黒くなってますから!

ここで最初に使ったドライウェルに浸して、余分な液をぬぐいつつハンガーにかけて乾燥させます。

DSC_0107

ワタシの汚部屋のどこかにライトボックスあるはずなんですが、もう何年も発見できていませんので、見にくくて恐縮ですがこんな具合。

粒子感強めかな…?とも思いつつ、まずはリバーサル現像ができました。

今回は水道水がずっと24℃だったので、水洗含めてずーっと同じ温度で処理したことになります。

次回はこのキットで、いにしえのコダクロームをクロスプロセスしてモノクロリバーサル現像にトライしてみます。説明書だとSCALA50が20℃処理になってるので、もう少し涼しくなってからだな…

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