テレシネを考える[3]8mmのHDテレシネは可能か

知り合いのプロデューサーからしばらくぶりに電話が。

「ある作品で8mm映像を入れたいので、テレシネの方法を教えて欲しい」との事。
「昔やったみたいに、スクリーンに投影してそれをHD-CAMで撮影する、超アナログ方法でやったんですけど画質がいまいちで」

そりゃそうでしょ。それは簡易的なテレシネ方法だからダメだよと。劇場映画用だったらヨコシネDIAに聞いてごらんと答えておきましたが、

「でも、HD-CAMなんですよ。対応してますか」

出先だったので、とりあえず聞いてみなよ渋谷ビデオスタジオのそばだから、と電話切っちゃいましたが、その後にやたらと気がかりになりました。

HDは・・・盲点です。

ヨコシネDIAでは、立て続けて何回か8mmテレシネをしてもらいましたが、それも2年ぐらい前。その後、ヨコシネDIAがどんな機材を入れたか見に行ってませんのでわかりませんです。そもそもシンテルの構造だと画素数は固定のはずなので、そのまんまだったらSD専用テレシネシステムなんじゃないかと。あくまでも、その後ヨコシネDIAさんとは仕事しておりませんので、単なる推測ですよ、推測。

そんな推測から考えはじめたら、あれ、国内で行われている8mmのテレシネサービスってのは、ほとんどがSDにしか対応していないかも!と気になって来ちゃったのです。

話変わりますけど、いいですか?
今、日本ではなかば強引にSD環境が捨てさせられてるんです。
まず、ご家庭の話ですと、SD/NTSCのモニターのもっとも主要な用途は、テレビ放送の視聴なのでしょうが、現在のアナログ放送が終了するのが2011年。アナログ波を残すべきという声もまだありますが、どうなるかはわかりません。

では、HDの環境が満足に揃っているかと言えばまだまだ過程でしょう。
制作サイドから見ますと、業務レベルでは編集スタジオではSDのモニターが廃棄されてHDモニターに入れ替えられつつありますが、HDモニタのリーズナブルな奴って液晶モニターが多く、これの画質がどうもぱっとしないんですよ。財力のあるところは、上級機のCRT物を導入してますけどね。

液晶やプラズマ自体、CRTにかなわないところがあります。新しい技術が古い物を質的に凌駕するのではなくて、コストとか利便性とかそういった点でしか変わっていかないというのが残念です。時代は決してHi-Fiに向かって進んでいるわけではないのです。これは、業務だけの話ではなくて、ご家庭も同じ事です。

さてそして、民生で映像制作する場合のHDフォーマットは果たしてどうなるのかと。HDVなんでしょうか?どうもあの色の鈍い画質や編集勝手の悪さから見て、究極の民生用HDフォーマットというよりも中継ぎっぽいような印象を受けます。そもそも撮影メディアであっても、吐き出した後が考えられていないフォーマットですしね。
じゃあ、吐き出し口として候補に挙がっているディスクメディアはどうなのかと言いますと、一番今安定しているのは、編集後ダウンコンバートしてDVDをこしらえる方法。HDそのまんま登考えると、HDDVD・・・なのかブルーレイなのか・・・と曖昧な状況。

いろんなものが、なし崩しの状態で、HDへ移行をせかされているだけだったりします。需要がどこにあるのかわからないけど、なんとなく「今更SDでもないだろう」という焦りだけで移り変わっていく状況。

まあ、なし崩しはなし崩しとして、前述のプロデューサー氏の要望にあるように、仕事は待ってはくれません。その場その場の要望に、限られた条件であろうとも最良の答えを出していかなけりゃいけません。これはあたくしも似たようなもんです。

8mmをHDにする手だて、何か考えないといけないですね。

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