8ミリを生き抜く!シリーズその3:サヴァイヴァル8の座談会アンケートから読み解く

イベント

サヴァイヴァル8の第二回上映会イベント参加したり

過去のチラシ読んだりしましたが、どうもモヤモヤする。

ところが、サヴァイヴァル8の主催者さんもモヤモヤしていたらしいのです。

その痕跡は、会場で配布されていたアンケート資料に見つけられました。

座談会「みんなで話そう:8ミリフィルム制作の現状と今後」–出品作家からのメッセージ(プリント資料より1ページ引用)

第2回「サヴァイヴァル8」の開催を企画し、出品作品がほぼ集まった時点で、突然主催者の私たちに、出品作家の実際の状況をうかがいたい気持ちが生じました。
一つには主催者だけが勝手に「サヴァイヴァル」と騒いでいるだけで、当の作家の皆さんは案外平然と作品制作を行っているのではないか、とも思われたからです。
そこで、出品作家に対する意見聴取(アンケート)を行うべく、2016年10月25日、全員に依頼しました(メールによる。1名については郵送)。11月13日に行う座談会「みんなで話そう:8ミリフィルム制作の現状と今後」の具体的資料として先ずは役立てていただく。そればかりでなく、作家や観客を含めた皆様に、現状と今後の8ミリフィルムによる作品制作を考える際の参考になるのではないかと考えます。

座談会の前に出品者に「どう思う?」とアンケートを投げかけたのですね。残念ながら座談会は東京では行われなかったんです。生の声の代わりにこの資料をつぶさに読んで参りましょう。

 ご多忙でありながらも、15名からご回答を戴きました。お尋ねした項目は次のようです。
1.フィルムの入手方法は?
2.現像の仕方は?
3.カメラや映写機はどうされてますでしょうか?
4.その他の材料(スプライシング・テープ、リールほか)についてはいかがでしょうか?
5.8ミリによる作品制作の頻度、他メディアとの比率は?
6.8ミリフィルム制作の現状と今後に関して、考えていらっしゃることを述べてください

この6項目の問いかけの回答が匿名で掲載してあります。全4ページありますが全部載せちゃうと引用にならないので1ページのみ掲載します。

また、観客を含めた人たちに今後の8ミリによる制作を考えてもらうための参考とありますのを少し広めに解釈して、要約して伝えていこうと思います。引用の範囲内と考えてます。

1.フィルムの入手方法は?

ヤフオクで落札 3票
知人からもらう 3票
手持ちの在庫 6票

ヨドバシカメラなど 4票
レトロ通販 3票
シネヴィス 2票
海外の機材店 1票

(※複数回答があるので、人数より多くなってます)

一番多いのは、手持ちの在庫ですね。

もらう/ヤフオク/在庫の3項目ひっくるめて12票はすでに人の手に渡ったものの活用。
一方、ヨドバシカメラ/レトロやシネヴィス/海外専門店からの購入の10票は新品の利用でしょう。

2.現像の仕方は?

自家現像 10票
レトロ通販 5票

これは驚きでした。自家現像がこんなに多いのか!
サヴァイヴァル8の作家さんの傾向なのでしょうかね?
それとも8ミリに興味のある人のブームなのかしら?

現像代が高いのがトリガーなのかも知れませんが。

3.カメラや映写機はどうされてますでしょうか?

◎自分のものを使用
これがもっとも多い意見で、たとえばこんな感じで、

学生時代に購入したZC-1000/15年、10年以上前に買った機材

を使ってますとの回答なのです。
ただ、所有してる機材に加えて、最近買う方もいます。

そう言う方はこちらで買うようです。

◎中古を買う
中古カメラ屋
ヤフオク
リサイクルショップ(ハードオフなど)
蚤の市

中古カメラ店以外は動作保証がない品でしょうかね。

◎高くて買えない整備品
そして、業者が整備した品は高くて買えないようです。

整備品はどれくらい高いのか?そもそも売ってるところは?
これらは別途検証します。

◎もらい物
機材をもらうというのも4票ほどあります。

◎借りる
勤務先(学校)の資材 2票
夫の機材 1票
手持ちが壊れてて借りた 1票

壊れたから借りた/壊れたので今は持ってない

何らかの理由で、機材を所有しようと思わなかったようです。
借りるためには貸す人がいるわけで、8ミリは人と人との関係性で維持されてるのでしょうか?
◎修理
1名のみ、直せる範囲で直す
1名のみ、レトロ通販に修理依頼したが現在は受け付けてないと言われたそうです。
(レトロさんは修理受け付けますってページ消せばいいのに)

4.その他の材料(スプライシング・テープ、リールほか)についてはいかがでしょうか?

スプライシングテープは以前買った物を活用 9票

これが一番多いですね。
LPL/富士フイルムのスプライサー用の穴あきロールテープは製造終了です。しかし、レトロ通販が在庫売ってます。
パッチテープスプライサー用テープは海外で新品が各種流通してます。
穴無しのロールテープを使うスプライサーもありますし、まだもう少し大丈夫かなと思いますが、スプライサーの新品もないのよね。
一方、リールは新品ありますし中古でも(歪んでるモノも見かけますが)あまり心配しなくて大丈夫です。
海外から新品購入した方は購入先にMoment Catcher Productionを挙げてました。
http://www.momentcatcherproductions.com/
ここのサプライ用品はリーズナブルな価格で良心的です。

さて、ここまでは機材などの状況にどう向き合ってるか?の問いです。おおむね、今まで持ってたモノで製作をして、フィルムは手持ちがなければ買うようです。新たにちゃんと整備された機材を購入はしないのですね。

ただ、常日頃作っているのだったら、使える機材が手元にあるってことですし、フィルムの手持ち在庫があればわざわざフィルム買いませんよね?

では、そもそも今回の出品者は常日頃どう8ミリに向き合っていたのか?ソレについての問いが5番目です。

5.8ミリによる作品制作の頻度、他メディアとの比率は?

8ミリで製作することが多い/ほとんど8ミリ 3票
16ミリメインで8ミリは時々/ほとんど作らない 2票
上映会などのきっかけがないと8ミリは作らない 2票

他のメディアも手がけていて、8ミリの比率は10%ぐらいという意見が2票ありました。また、8ミリ製作は1-2年に1本程度というのが4票ほどあります。回答での頻度や期間のとらえ方が主観がバラバラなのでホントはまとめられないです。たとえば、これが「8ミリフィルムを年にどれぐらい撮影/現像しますか?」という問いかけとあわせて、「8ミリによる作品製作はどれくらいの頻度で、他のメディアとの比較」と問うたら、少しまとまった答えになったかも知れません。

しかし、
8ミリは作品を作るためだけに消費されてるのでしょうか?
出品作家も、8ミリ=表現ツール限定としてとらえてるのか?
これらの疑問が生じましたが、また別の機会に答えを探しましょう。

6.8ミリフィルム制作の現状と今後に関して、考えていらっしゃることを述べてください

数値化不可能ですので、アンケートから要点(とワタシが感じるところ)を抽出して列挙します。


フィルムが無くなったら製作やめるかも。30年分ぐらいストックすれば大丈夫か。


サバイバルゲームのような状況を楽しむ。


手持ち分を使い切るまで製作続ける。


8ミリ製作の予定無し。作りたくなったらその時の状況次第。


レトロ通販のフィルムで作れればOKだがスプライシングテープが心配。スーパー8で作ることも考えるがZC-1000が遊び甲斐のあるカメラなので…。8ミリとビデオは違うモノ。


フィルムの生産が続くことを祈る。


8ミリ他のフィルムやビデオとは別のアートフォーム/フォーマット。安定的な供給と現像サービスを保持して欲しい。


アナログでの製作方法レクチャーは学生時代にしか出来ない映画の原風景体験授業。


目に見える手で触れられるメディアは無くなっていく。フィルムでの制作はビデオとは異なるので道具が入手できなくなるまで楽しむ。作品の保管保存についての考えをお聞きしたい。


京都おもちゃミュージアムの8ミリワークショップで初心者の方が多く参加した。フィルムを知らない若い方にとっては新しく発見されたメディアなので、撮影や自家現像のワークショップを続けていく。


今回はカラーリバーサルフィルムで制作したかったために買い置きのシングル-8を使ったが入手困難なのでのびのびと制作出来なかった。撮影よりもフィルムを弄って実験することに興味があるので現像済みフィルムを再利用する作品作りをしたい。


30年以上前は8ミリは個人的なものだったが、今はもっとも社会的なメディアに変わったと実感。以前は自閉的な人向けだったが、フィルム購入や機材調達など、他者と関わらないと実現できないので、今は社交的な人に向いてるメディア。
8ミリで作りたいと思ったらどんな苦労しても作り上げる。不自由になってからの最近の8ミリ作品群にそれを感じる。


現状も将来も悲観的である。しかし作品を制作することは状況に左右されるものではないと信じている。
悪いなりに何らかの対処方法はあるはずで、それを探りながら制作を続けることが肝要ではないか。


今後も8ミリに限らずフィルムでの制作は続けていく。


8ミリでの制作はより難しくなると思う。かつては現像とフィルムが1000円程度でたっぷり使えた状況が作品世界を決定したが、
不自由になることで逆に8ミリにこだわらない自由さを手に入れたと思う。
自分で8ミリとデジタルで作れる作品は違うので、デジタルを試みて新しい世界を開けると楽しみにしている。


ワタシはこれらの意見をおしなべて「過去からの積み重ねを感じさせつつも前向き」だと受け取りました。
ただ「悲観的」と悲痛な叫びから始まるのが主催者の一人のようです。ここまで読み進めて来て、ようやくサヴァイヴァル8の主催者の立ち位置が明らかになったです。

そして、その悲痛な思いの主催者の呼びかけにそれぞれバラバラのスタンスで作家陣は答えていったのですね。

さてさて話は変わります。
本ブログは「おもしろい映像を作るには、8mmでも16mmでもDVでもHDVでもAVCHDでもPCでもMacでもAMIGAでもVRでも何でも使いましょう!とマディ折原が提案するサイト」であります。

「おもしろい映像」は、誰にとってでもいいンです。万人に「楽しい」と言わしめる商品的なアプローチもアリでありますし、自分だけがこっそり楽しむのもアリであります。 楽しみかたも自由ならば、その手段を選ばない…いや、積極的に選んで行きましょうよ!と言いたいのであります。楽しむ主体はこちらであると。状況ではない。

その割には8ミリネタばっかりなのはなぜか。それはフィルム映像を楽しむための情報が少ないと、もう10年前から全然足りねえジャンかと思ってるからです。

でも、 アンケートにあるように、8ミリという古くて新しいメディアを発見する方がいるのです

それはきっと、アンケートに答えた学校の先生たちの授業で楽しさを見いだしたり、それともサヴァイヴァル8のようなイベントで作品に触れたり、そもそも全然接点の無い人だって、アカシックの曲「8ミリフィルム」のようなマスに訴えるものから知るのでありましょう。

きっかけについては検証した方がよさそうですが、いずれにせよ、彼らはこの古くて新しいメディアに楽しみを見いだして、そこにアプローチしていくことを選んだ人がいるのですね。
自分もそもそも8ミリの生産が終わった年に始めた後追い組です。ワタシがわちゃわちゃやってることも、人様が楽しみを見いだすきっかけになればそれは大変嬉しいことであります。

こと8ミリについては不自由さな状況も楽しんむ余裕を持って、今現在の状況に向き合っていきたいと思っておりますし、誰もがいろいろな経路から8ミリの楽しさに新たに気づくのであれば、もう少し幅広く楽しんでいこうかとワタクシも考える年初であります。

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